葉巻の読み方──Cohibaは「コイバ」?主要銘柄・産地・専門用語の正しい発音
Cohibaを「コイバ」と読んでいませんか──葉巻の発音は、趣味の最初の関門。キューバ主要7銘柄、ヴィトラ(型)、産地、専門用語の正しい読み方・カタカナ表記を、10年カウンターで数千人と話してきたバーテンダーが整理。「葉巻」と「シガー」の呼び分けも。
宮本 雄一 シガー&ウイスキー専門家
公開: 2026年7月16日 更新: 2026年7月16日
「コ・イ・バ、ですか?コーヒー・アバ?」
10年カウンターで、私はこの発音を何度笑ってきたか分からない。すべて Cohiba(コーアバ) のことだ。
葉巻の世界は、スペイン語と英語と日本語が混在する。銘柄はほぼスペイン語、専門用語は英語風、店員との会話は日本語。慣れていない人は、まず 読み方の壁 にぶつかる。
このページでは、10年カウンターで2,000人以上と話してきた私が、「葉巻の読み方・呼び方」を体系的にまとめる。銘柄・産地・専門用語の正しい発音を身につけると、シガーバーでの会話が自然に流れる。

「葉巻」と「シガー」の呼び分け
まず基本の疑問から。「葉巻」と「シガー」、どう使い分けるか。
結論:両方正しく、緩やかな棲み分けがある
- 葉巻(はまき): 日本語の正式呼称。銀座老舗・伝統派・記事タイトル向き
- シガー(Cigar): 英語圏の国際的呼称。西麻布・恵比寿系新興バー・海外派向き
10年カウンターで観察した限り、この使い分けで礼儀が問われる場面は一度もなかった。会話では両方を混ぜて使うのが自然。
このメディアでも、SEO上の慣例に従い両方を使い分けている(例:「葉巻 初心者」「シガーバー 東京」)。
キューバ葉巻 主要7銘柄の正しい読み方
キューバ葉巻はすべてスペイン語銘柄。日本人が間違えやすい発音を中心に整理する。
1. Cohiba(コーアバ)
- 正しい読み方: コーアバ(英語風は「コハイバ」)
- 意味: 「タバコ」のタイノ族原住民語
- 代表銘柄: シグロシリーズ、ベヒケ
- よくある誤読: 「コイバ」「コハイバ」「コビハ」
「キューバの至宝」と呼ばれる、キューバ葉巻の頂点。詳細はキューバ 葉巻 おすすめランキング で書いた。
「タバコ」を指すこの言葉は、コロンブスがカリブの先住民タイノ族の葉を巻いて燻らす様子を書き留めた語にさかのぼる。名前は古いが、ブランドとしてのコーアバは意外に新しい。1966年、フィデル・カストロと党高官のためだけの非売品として生まれ、市販が始まったのは1982年——スペイン開催のワールドカップに合わせた披露で、当初はパネテラ、コロナ・エスペシャル、ランセロのわずか3型だけだった。語源の古さとブランドの若さ。この落差を知ると、コーアバの一本がまた違って見えてくる。
2. Montecristo(モンテクリスト)
- 正しい読み方: モンテクリスト
- 意味: 「キリストの山」ラテン語
- 代表銘柄: No.2、No.4
- よくある誤読: 「モンテカーロ」「モンテスキュー」
キューバ葉巻の最も一般的な銘柄。初心者の入口として最適。
名前の由来を知ると、この銘柄はぐっと面白くなる。かつて葉巻工場では、単調な作業を続ける巻き手(トルセドール)のために「朗読係(レクトール)」が本や新聞を読み上げる習慣があった。モンテクリストが生まれた1935年当時、この工場で特に人気だったのが、アレクサンドル・デュマの小説『モンテ・クリスト伯』だったという。創業者は二語だった綴りを一語の「Montecristo」にまとめ、箱には小説にちなむ三本の細剣(レイピア)を配した。銘柄名は、巻き手たちが耳で聴いた物語そのものだったわけだ。
3. Romeo y Julieta(ロメオ・イ・フリエタ)
- 正しい読み方: ロメオ・イ・フリエタ
- 意味: 「ロミオとジュリエット」(シェイクスピア)
- よくある誤読: 「ロミオとジュリエッタ」「ロメオ・ワイ・ジュリエッタ」
「y」はスペイン語で「イ(and)」と読む。「ワイ」ではないのがポイント。
4. Partagás(パルタガス)
- 正しい読み方: パルタガス
- 意味: 創業者「Jaime Partagás」の名前
- よくある誤読: 「パーテガス」「パーテガーズ」
英語風に「パーテガス」と読む人が多いが、スペイン語では「パルタガス」。
5. Bolívar(ボリバル)
- 正しい読み方: ボリバル
- 意味: 南米の英雄「Simón Bolívar」から
- よくある誤読: 「ボリヴァー」
「í」にアクセントがあり、「ボリバル」と2音節で発音するのが正確。
6. H. Upmann(ウップマン)
- 正しい読み方: ウップマン
- 意味: ドイツ系創業者「Hermann Upmann」の名前
- よくある誤読: 「エイチ・アップマン」「アップマン」
「H.」は略字でスペイン語では発音しない。「ウップマン」の1語で覚える。
7. Hoyo de Monterrey(オヨ・デ・モンテレイ)
- 正しい読み方: オヨ・デ・モンテレイ
- 意味: 「モンテレイの穴地」スペイン語
- よくある誤読: 「ホヨ・デ・モンテレイ」「ハヨ・デ・モンテレイ」
スペイン語の「H」は無音。**「オヨ」**が正解。
主要7銘柄 読み方一覧
| スペル | 正しい読み方 | よくある誤読 |
|---|---|---|
| Cohiba | コーアバ | コイバ・コハイバ |
| Montecristo | モンテクリスト | モンテカーロ |
| Romeo y Julieta | ロメオ・イ・フリエタ | ロメオ・ワイ・ジュリエッタ |
| Partagás | パルタガス | パーテガス |
| Bolívar | ボリバル | ボリヴァー |
| H. Upmann | ウップマン | エイチ・アップマン |
| Hoyo de Monterrey | オヨ・デ・モンテレイ | ホヨ・デ・モンテレイ |
産地の読み方
葉巻の産地も正しい発音を身につけたい。
4大産地の読み方
| 国名 | 日本語表記 | スペイン語発音 |
|---|---|---|
| Cuba | キューバ | クーバ(発音) |
| Dominican Republic | ドミニカ | ドミニカーナ(Dominicana) |
| Nicaragua | ニカラグア | ニカラグア |
| Honduras | ホンジュラス | オンドゥーラス(発音) |
日本語表記が定着している「キューバ」「ドミニカ」「ニカラグア」「ホンジュラス」で構いません。業界会話でもこれで通じる。
産地内の地名
- Vuelta Abajo(ブエルタ・アバホ): キューバの最高品質葉巻生産地
- Pinar del Río(ピナール・デル・リオ): ブエルタ・アバホがある州
- Villa Clara(ビジャ・クララ): キューバ中部の主要産地
これらは葉巻マニアの世界。初心者は「キューバ・ブエルタ・アバホ産」と伝えれば十分に通じる。
専門用語の読み方
葉巻の世界の専門用語を、正しい読み方で整理する。
主要専門用語10選
| 用語(スペル) | 正しい読み方 | 意味 |
|---|---|---|
| Vitola | ヴィトラ(ビトラ) | サイズと形の総称 |
| Liga | リガ | フィラーのブレンド構成 |
| Peri / Pique | ピリ | 胡椒的な刺激 |
| Habanos | ハバノス | キューバ葉巻の総称 |
| Puro | プエロ | 純粋な・葉巻を指す言葉 |
| Filler | フィラー | 中身の葉 |
| Binder | バインダー | 中葉を巻く葉 |
| Wrapper | ラッパー | 外側の葉 |
| Foot / Fuego | フット | 火をつける側の足元 |
| Cap | キャップ | 吸い口側の閉じた部分 |
「ヴィトラ・リガ・ラッパー」の3つを覚えれば、業界誌が読めるようになる。
味わい表現の読み方
- Nuttiness(ナットネス): ナッツ系の風味
- Complexity(コンプレキシティ): 味の層の多さ
- Body(ボディ): 濃さ・重さ
- Strength(ストレングス): ニコチン強度
- Finish(フィニッシュ): 余韻の質
詳細はシガー テイスティングノートの読み方 で解説した。
ヴィトラ(サイズ)の読み方
葉巻のサイズ表記も、スペイン語がベース。
主要ヴィトラ8種
| ヴィトラ名(スペル) | 正しい読み方 | サイズ(長×リング径) |
|---|---|---|
| Corona | コロナ | 5.5×42 |
| Petit Corona | プチコロナ | 4.2×40 |
| Robusto | ロブスト | 5×50 |
| Toro | トロ | 6×50 |
| Churchill | チャーチル | 7×47 |
| Double Corona | ダブルコロナ | 7.6×49 |
| Pyramide | ピラミデ | 6.1×52 |
| Torpedo | トルペード | 6.1×52 |
「コロナ・ロブスト・チャーチル」の3つが最頻出。詳細は葉巻 種類とサイズ完全ガイド で書いた。
シガーバーで通じる呼び方 5原則
10年カウンターで観察した「正しい呼び方」の原則:
原則1: 店員には「葉巻」or「シガー」どちらでもOK
- 「今日は葉巻を吸いに来ました」
- 「シガーを1本お願いします」
- どちらも自然。無理して英語風にする必要なし
原則2: 銘柄はフルネームで伝える
- ❌「モンテクリストください」
- ✅「モンテクリスト No.4 をください」
サイズ違いで別物なので、必ず番号 or ヴィトラを添える。
原則3: 産地は丁寧に
- ❌「キューバのやつ」
- ✅「キューバ産のものが好みです」
原則4: サイズはヴィトラ名で
- ❌「中くらいの太さ」
- ✅「ロブストでお願いします」
原則5: 初心者はカタカナ発音でOK
- 「コーアバ」「モンテクリスト」で通じる
- 通ぶって「Cohiba」を英語風に発音する必要なし
- 知ったかぶりの英語風発音の方が違和感
葉巻の読み方でよくある10の誤解
10年カウンターで実際に聞いた誤解を整理:
誤解1: 「シガー」は英語風で言うべき
→ 日本語のシガーで十分。無理な英語発音は逆効果。
誤解2: コーアバは「コイバ」
→ 正しくは「コーアバ」(タイノ族原住民語由来)。
誤解3: 「y」は「ワイ」
→ スペイン語では「イ」。Romeo y Julieta = ロメオ・イ・フリエタ。
誤解4: 「H」は「エイチ」
→ スペイン語のHは無音。H. Upmann = ウップマン。
誤解5: 産地を英語で言う
→ 日本語でOK。「キューバ」「ドミニカ」で通じる。
誤解6: ヴィトラを「サイズ」と呼ぶ
→ 業界慣例では「ヴィトラ」or「型(かた)」が正確。
誤解7: 「タバコ」と呼ぶ
→ 「葉巻」と「タバコ(紙巻き)」は別カテゴリの嗜好品。葉巻 タバコ 違いで詳述。
誤解8: 「Puros」は複数形
→ 英語ではなくスペイン語。「Puro(単数)/Puros(複数)」。日本語では両方「プエロ」で通じる。
誤解9: ハバノス=ハバナ
→ 別語。ハバノス(Habanos)はキューバ葉巻の総称、ハバナ(Habana)はキューバの首都。
誤解10: 「ボディ」と「ストレングス」は同じ
→ 別概念。ボディ=味の濃さ、ストレングス=ニコチン強度。詳細はテイスティングノート で書いた。
最後に──言葉が通じれば、扉が開く
10年カウンターで2,000人以上と話してきた私からの助言:
- 「葉巻」と「シガー」は両方OK:文脈で使い分ける
- 主要7銘柄の正しい読み方を覚える:特にコーアバに注意
- 銘柄はフルネームで伝える:サイズ番号も併記
- 産地は日本語表記でOK:無理な外国語風発音は不要
- ヴィトラ名を身につけると業界誌が読める
葉巻の読み方は、シガーバーでの会話の質を決める基礎知識だ。このページを読み込めば、10年カウンターで観察した「初心者」から「常連候補」への一歩を、自然に踏み出せる。
参考資料
- HABANOS S.A.(ハバノス)公式 — キューバ葉巻の正式銘柄一覧と発音
- Cohiba(Wikipedia) — コーアバの語源(タイノ族)・1966年創設・1982年市販の経緯
- Montecristo(Wikipedia) — 小説『モンテ・クリスト伯』と朗読係に由来する命名の由来
- 葉巻(Wikipedia) — 葉巻の総合解説
次に読む
- 葉巻 初心者おすすめの最初の3本:読み方を覚えたら最初の1本
- キューバ 葉巻 おすすめランキング7銘柄:主要銘柄の詳細
- 葉巻 種類とサイズ完全ガイド:ヴィトラの詳細
- シガー テイスティングノートの読み方:専門用語の実践
- シガーバー 東京 初心者ガイド:会話が試される場
「大人の趣味」では、本物志向の道具と長く付き合う知恵を、専門家5名が綴っています。編集方針はこちら。
よくある質問
- Q. 「葉巻」と「シガー」、どちらの読み方が正しいですか?
- 両方正しく、使い分けが業界慣例です。「葉巻(はまき)」は日本語での正式呼称、「シガー(Cigar)」は英語圏の国際的呼称。銀座の老舗シガーバーでは「葉巻」が主流、西麻布・恵比寿の新興系では「シガー」が主流という緩やかな棲み分けがあります。会話では両方を混ぜて使うのが自然で、10年カウンターで観察した限り「葉巻/シガー」の使い分けで礼儀が問われる場面はありません。
- Q. キューバ葉巻の銘柄はスペイン語ですが、正しい読み方は?
- キューバ葉巻の主要銘柄はすべてスペイン語で、正しい発音が業界標準です。①コーアバ(Cohiba)=コイバではなくコーアバ ②モンテクリスト(Montecristo)=モンテクリスト ③ロメオ・イ・フリエタ(Romeo y Julieta)=ロメオ・イ・フリエタ ④パルタガス(Partagás)=パルタガス ⑤ボリバル(Bolívar)=ボリバル ⑥イスラベラ(H. Upmann)=ウップマン ⑦オヨ・デ・モンテレイ(Hoyo de Monterrey)=オヨ・デ・モンテレイ。特にコーアバの発音は日本人が間違えやすい代表格です。
- Q. 「ヴィトラ」「リガ」「ピリ」など専門用語の読み方は?
- すべてスペイン語 or 業界英語で、正しい発音があります。①ヴィトラ(Vitola)=サイズと形の総称・「ビトラ」とも表記可 ②リガ(Liga)=ブレンド構成・「リガ」と発音 ③ピリ(Peri)=胡椒感・「ペリ」ではなく「ピリ」④ハバノス(Habanos)=キューバ葉巻の総称・「ハバノス」⑤プエロ(Puro)=プエロ・「純粋な」の意味で葉巻を指す。詳細は[シガー テイスティングノート](/cigar/cigar-tasting-notes/) の専門用語セクションで解説しました。
- Q. 葉巻の呼び方で相手に失礼がない伝え方は?
- 5つの原則があります。①店員には「葉巻」または「シガー」どちらでもOK ②銘柄を伝える時は「モンテクリスト No.4」のようにフルネーム ③産地を言う場合は「キューバ産の」「ドミニカ産の」と丁寧に ④サイズは「コロナで」「ロブストで」とビトラ名で ⑤初心者はカタカナ発音でOK、通ぶって英語風にする必要なし。10年で2,000人以上見てきた経験では「知ったかぶり」の英語風発音の方がむしろ違和感を与えます。
About the author
宮本 雄一
シガー&ウイスキー専門家・銀座シガーバー バーテンダー 10年
銀座のシガーバーで10年バーテンダー、現在は独立してコンサル業務。シガーソムリエ資格保有。葉巻とウイスキーの両領域を横断する数少ない実務家。
Editor's note
編集後記とエッセイは、note で。
サイト本編に書ききれなかった編集現場の話、取材で出会った職人たちのエピソード、執筆陣の30年・20年の所有歴。 サイトとは別の温度の話を、note でゆっくり綴っています。